いろんな職業があるなかで先生とは、子どもを育て、子どもと一緒に過ごして成長をサポートする仕事だと思っています。今思えば、僕が教員を目指すきっかけとなったのは、小学校時代に担任と過ごした時間の楽しさでした。数少ない身近な大人が先生だったこともあり、憧れを抱くようになったのです。その後、想いは変わることなく島根大学の教育学部に進学。そこで学んだのが、1000時間体験学修というプログラムで、島根県の子どもたちとキャンプや旅を共にするという経験を通して身に付ける教育実践力でした。小学生の子どもたちと一緒にひとつのことを達成する喜びはとても大きく、さらに先生になりたい気持ちが高まったことは言うまでもありません。
私が大切にしているのは、これから大人になる子どもたちに、人に頼る力や、一緒に行動できる力を身に付けさせることです。これは特別支援学級を担任した際に強く感じたことでもあります。どうしても子ども自身は一人でできると思いがちですが、仲間と同じ活動が難しい子、思いを発信するのが苦手な子もいます。そういった子たちも含め、集団のなかでどうやったら力を付けられるかは、とても悩みました。ただ、ひとりではできなくても周りが声をかけたり、手伝ったりすることはもちろん、自分から支援を要求できることも大きな力のひとつだと気づきました。個性がそれぞれあるなかで、共生できる環境のもと自立できる大人になってもらいたい、それを願って指導にあたっています。
子どもたちと何かをやり遂げたり、成長の瞬間に立ち会えたりすることは教員の醍醐味です。6年生を受けもった際、クラスのテーマソングを作ると決まったときも、歌詞を作るための話し合いを通して、全員の想いを込めたテーマを見出していく子どもたちに、大きな成長を感じました。「一歩一歩、もう一歩、ともに歩もうあの山へ」。これは僕が作った学級目標のフレーズです。「一歩一歩」は継続する力、「もう一歩」は挑戦する力、「ともに歩もう」は協力する力、「あの山へ」は目標や夢、希望を持つ大切さを込めています。立ち止まることもあるけど、歩みを止めることなく着実に進む力を付けてほしい。そんな願いを、これからも子どもたちと共有しながら過ごしていきたいですね。