中学校の英語の教員をやっていた父は、何事にも妥協することなく、どれだけ時間がかかっても丁寧に仕事をやり切る人でした。いろいろ工夫しながら働く父の姿は今も記憶しており、かっこいいなと思ったのが教員を目指すきっかけに。あと、5歳上の兄と一緒に、数学のテレビ番組を見ながら学ぶ楽しさ、考える楽しさを学んだことも大きく影響しています。僕は小学4年生のとき、円の面積の公式を自分で証明した経験があります。その頃から、「数学とは理由を考える学問である」面白さを知り、その後中学・高校へと進んでも興味は高まるばかり。より深みを増した高校での数学で、学びと純粋に向き合う楽しさを得てからは、高校の数学教員になることを決めていました。
数学は積み重ねの学問でもあります。苦手意識を持ってきた生徒に対して、それを払拭し、どう楽しく学んでもらうかは、まだまだ私も勉強中です。大切にしているのは、常に生徒のことを第一に考えること。時間の使い方も、生徒のためになることを優先できるよう、事務的な仕事はスピード重視で進めるなど工夫しています。また、隠岐島前高校では「夢探究」という授業があり、地域の方をゲストに招いた総合的な学習を行っています。専門分野の知識と高校の教科を掛け合わせ、生徒は自身の興味関心を掘り下げながら、将来の方向性を見出せる内容に。数学と同様、多くの実践を重ねることで、なにか答えにたどりつく瞬間の生徒の表情には、代えがたい喜びを感じています。
僕は小学4年のころからソフトテニスを続けています。それまでは、なかなか人前に立って発言することが苦手でしたが、中学でキャプテンを任されてからは自分を表現する大切さに気付きました。島根に帰った理由には、ソフトテニスの技術指導において自身の経験が活かせると考えた経緯もありましたが、同時に僕がソフトテニスを通して学んだ礼儀などを生徒たちに伝えることが恩返しになると思ったから。土日に部活をやる意味について生徒と意見を擦り合わせることもあり、部活から得られる学びには、また違った楽しさがあります。それも含めて、教員となった今の生活はとても刺激的。常に新しいことが待つ魅力にあふれ、毎日ワクワクしています。