高等部2年生のクラス担任。専門教科である美術の授業を中心に、自クラスの生活単元学習や自立活動の学習を受け持っています。
進路指導も担当。卒業後の進路選択・決定に向けて、現場実習の計画・調整・依頼をしたり、生徒が目標をもって進路学習を進められるようサポートしたりしています。
他の教員と一緒に、生徒が作った製品を地元で販売・活用してもらうための地域連携も進めています。例えば、陶芸作品を市内のカフェやレストランで使ってもらったり、ふるさと納税の返礼品にしてもらうなど、さまざまな形でつながりができるようはたらきかけています。
出身中学に特別支援学校の分教室があり、日々の掃除の時間や催し物などで交流する中で特別支援教育に関心をもつようになりました。大学で中高の教員を目指し美術教育を学んでいる時、教授から「障がいのある子の学びに美術は重要。副専攻で取り組んでみない?」と勧められ、特別支援学校での実習も経験しました。子どもたちの素直さに触れ「やはり自分はこの道だ」と思うように。特別支援学校で美術を通じて表現の楽しさを伝えようと志しました。
美術は〝正解がない〟教科で、見る人の価値観によって感じ方が大きく異なるもの。上手く完成させることを重要視せず、一人一人の進度に合わせて対話し、その子にしか出せない表現や独自の味わいを大切にしています。認められることで自己肯定感を得て、表現することを喜びにしてほしい。そして卒業後、生活の中で美術を生きがいや楽しみにしてほしい。そんな願いを抱いています。
以前、担任するクラスに人間関係で悩みを抱える生徒がいました。そのとき担任だけでなくチームで諦めずに向き合い続けたら心を開いてくれるようになりました。その生徒は表情も明るくなり、感情表現が素直に。友だちと会話が増え、始業式にも参加。できることが増えて成長しているなと感じました。私が離任する際には、「寂しい」と直接伝えてくれました。教員生活の中で、そのような生徒の成長と変化を感じられる場面がいくつもあり、その一つ一つが印象に残っています。
本人にとって一番良い形で、意思の伝え方をより豊かにしていくにはどうしたらいいか、関係職員等で話し合いながら支援を続けるのは大変です。その一方で、担任個人ではなく学年部や学部全体で、必要な情報や支援を共有しながらチームで生徒と関わり、支援に繋げることができる点は、特別支援教育の魅力の一つだと思います。
美術教員としては、生徒たちの自由な発想に気づかされることが多く、刺激のある日々を過ごしています。生徒同士がお互いの作品を見て感想を書くシートがあるのですが、回を重ねるほどにしっかりと自分の思いを書けるようになっていきます。そういった面で成長を見るのも手応えの一部です。
島根県は東部や西部、隠岐への異動があり、時には転居が必要なこともあります。人生設計において大変な面もありますが、島根県の各地域の魅力に触れられるというメリットもあると思います。同じ島根県内でも、地域性やその土地の伝統、文化などは異なります。東部と西部の両方で勤務することで、それぞれの地域の良さや、大きくいえば県全体を見ることができるのは、島根県で教員をする上で大切なことであり、楽しみでもあると思っています。
また、島根は人口が少なくコンパクトな地域。教員同士や生徒と色々な所で接点があるのも面白いですね。休日に買い物などに出かけた先で、卒業生に再会したことが何度かあります。受け答えがしっかりできるようになっていたり、自立している様子が感じられたり……。大人になったな、頑張っているな、としみじみ嬉しくなります。
平日はなかなか時間が作れないので、休日は家族でカフェ等に出かけたり、趣味の登山や車いじり等をして過ごしたりしています。